ゆりなっちのかゆかゆ、アトピー

 北海道から八丈島に来て初めて体験した梅雨。
そして転校によるいじめ。
 娘ゆりなっちのアトピーはものすごいスピードで体中を傷だらけにしました。

アトピーとは

ステロイドとは

第17回朝日新聞社 「海とさかな」賞
海 の 力

 私は、三年生の時、北海道から八丈島へ引っこして来ました。なぜかは、お父さんがくさやの仕事で来ました。

 私の家の前には、道路をはさんですぐ海があります。
 その海で毎年夏休みになると、わたしはおもいっきり遊びます。海の中には3〜4cmの小さなフグや、熱帯色のような小魚がたくさんいます。その中でも、きれいな青色をした小さな魚が私は一番好きです。砂浜では、砂をほって山を作ったりして遊びます。深い方へ泳いで行くと岩があって、そこでは登ったり飛びこんだりして遊びます。いつもは静かな海だけど夏になると海水浴の人達一ぱいになって、とてもにぎやかです。八丈の海はとてもきれいで、青色をしています。

 前に住んでいた北海道の海は、石浜で八丈には無いコンブが一ぱいありました。海の水はとう明ですんでいて、とてもきれいなコバルト・グリーンでした。北海道の夏は、すずしいので泳ぐことが少なくて海のことはよくわかりませんでした。

 私は、赤ちゃんのころから「アトピー性皮ふえん」で、うでやひざの後ろなどのやわらかい所に、しっしんができていました。でもようち園の時にはなんでもなかったので、お母さんは治ったと思っていたそうです。一年生の秋ごろから、少しずつしっしんが出始めました。でもあまり気になりませんでした。二年生の冬には、しっしんがひどくなってきました。

 それから八丈島に引っこして来たので、北海道には無い湿度や梅雨などで、ますますアトピーがひどくなってしまいました。
 しっしんが一ぱいできて、かゆくてかゆくなかなかねむれない時もありました。
朝起きると、シーツに血が付いていることもありました。

 私は、病院へ行くことにしました。
先生に「一ぱいかいたねぇ、ひどいねぇ。」と言われ、飲み薬とぬり薬をもらいました。でも薬を飲んだりぬったりしてもなかなか良くなりません。

 三年生の夏休みに入って、私は弟と毎日海で遊びました。
北海道の夏休みは、25日間だけだったけど、八丈は40日という長い夏休みなのでその間毎日海で泳ぎました。

 夏休みの終わりごろ気が付くと、うでや足にしっしんが出なくなってきれいになりました。私は「治った。」と思いました。その時、「海ってすごい。海水ってすごい」と思いました。お母さんにも「すごいね。きれいになったね。海水っていいんだね。」と、言われました。
私は、しっしんでできたブツブツも、かゆみもなくなって、すごくうれしかったです。

 病院の薬をぬっても飲んでも治らなかったのに、毎日海に入って遊んだだけで、私のアトピーがきれいになりました。でも完全に治ってはいませんでした。また次の年の梅雨になると、かゆくなってしまいます。今でも、私はアトピーを良くするために、海に入っています。

 でも、かいた所が海水でしみるので、海に入るのがいやな時もあります。そんな時、お母さんに「がまんして入りなさい。」と怒られます。

 それでも、私は海で遊ぶのが大好きです。北海道にいた時は、海の良さがわからなかったけれど、八丈に来て海の力、海のすごさがわかりました。

 本当に海ってすごいなぁ。
 私にとって海は「自然の薬」です。

 


アトピー通院

 先日、と言ってもすでに数カ月が過ぎようとしていますが、娘と東京のある病院へ行って来ました。八丈から来たと言うことで、よくお話をしてくれました。要約すると下記のようなことでした。

 1.部屋は清潔にすること。
 2.ふとんは2時間ほど干してあげること。
 3.入浴は短めに、手ぬぐいなどで洗い体を清潔にしてあげること。
 4.アトピーの薬を一日2回塗ること。
 5.かゆいところは冷やすとかゆみが低減すること。
 6.長い入浴は体温が上がり、かゆくなるだけなのでやめること。
 7.海には行っても効果はないこと。

 「この薬なんですか?」の問いには「アトピーの薬です。」とこたえられました。
このページをごらんの方はご存じの通り、アトピーの薬とはステロイドを含んだ薬と言うことなのですが…。

 私はこの通院結果が決して誤りではないと思います。たぶん患者さんも多いことや、お話ぶりから良い先生と感じました。ただ私にとってはどうもステロイド材を隠し、「アトピーの薬です」とごまかされた点が心のどこかに引っかかり通院をやめてしまいました。

 私はステロイド材を完全否定している訳ではありません。時と場合によっては必要なこともあると思います。そこの所を詳しく説明してほしかったのです。

 結局、娘と相談しこのアトピーの薬を使用するのはやめました。私は娘が納得する治療方法が一番娘にあっていると思ったからです。
 


ゆりなっちのアトピー対策

 海道に住んでいる時は、シジュームという商品が効果的でした。

 八丈に来てからは、泳げるくらい暖かい日は海。それ以外は自己流入浴療法を行っています。

 海の入り始め(5月ごろ)は、掻き傷がしみるので海水につける程度から始めます。ピリピリして結構痛いそうです。
 掻き傷が快復してくると、1日多いときには6時間以上も海に入ってます。
作文に書いてるとおり我が家の前はすぐ海なので、家族一同弁当持参で海暮らしです。

 自己流入浴療法とは、温泉療法の変形みたいなものです。1日3回、朝起床後、学校から帰宅後、そして夜、30分〜50分入浴します。
 月60時間以上入浴すると、翌月かなり体調が良くなります。がまだまだ子供のせいか、月60時間以上入った翌月は入浴時間が減ってしまいます。
結局その翌月にはかゆくなり始め、また一生懸命入浴のやり直しです。

 まだまだ完全なアトピー治療対策ではありませんが、娘が一番頭で理解している(こうすれば自分の体にはよい)方法なので、当分は続けていこうと思います。

 本によっては、海水浴や温泉療法は気分転換的によるストレス軽減の結果とされています。久しぶりの海水浴や温泉はストレス軽減になるかもしれませんが、毎日続けることは気分転換どころか、苦痛の何者でもありません。
 ましてや子供だと、どんなに理解していても自主的にと言うわけにはいきません。

 大変なのはアトピーの子供達であり、私たちは新しい情報を見極め、試していくしかないのでしょうね。はやくアトピーという名がきえる日を望みます。

  



アトピーとは

 今、アトピーの考え方で参考にしている本は、
小川秀夫氏の『医者が教えない アトピー性皮膚炎の治し方』かんき出版です。

 私なりの本の解釈は次の通りです。

T.アトピーの原因

 アトピー性皮膚炎とは、『アレルギー体質者が慢性的な睡眠不足、食生活の乱れ、運動不足、ストレスなどの生活慣習による自律神経失調症の症状が認められ、免疫力・抵抗力の低下、またそれらに伴う内臓機能およびホルモン産生・分泌機能の低下や、化学物質などの摂取による「軽微」な異常状態が身体に発生した場合に、「警告信号」としての痒み・炎症が皮膚に発生する』症状を言う。

 つまり、アトピー性皮膚炎の原因は「皮膚」ではなく、身体各種の異常にあり、それらの異常状態が「痒み」という症状をもたらしているそうです。

アレルギー体質→自律神経異常→免疫力低下→痒み

 具体的には血中の副腎皮質ホルモンが減少し欠乏症となると、免疫のずれた働きがおこなわれてしまうことにあるようです。
 このずれとは、卵などの食物、ダニなどの無害なアレルゲンを有害と判断し抗体を作って自己攻撃を仕掛けてしまうことです。


U.アトピーの対策

 アトピーを消退させるためには、免疫力を高め、自律神経失調症を正し、副腎機能を高めなければなりません。
 副腎とは腎臓の上にある小臓器で、細胞の代謝を促進したり、血管内の炎症を止めたり、糖類や塩類の代謝に関係する臓器です。
一日20r程度の3種類の副腎皮質ホルモンを産生・分泌しています。

 この副腎機能を回復させるために
 『毎日お風呂に入って身体を温め代謝の促進できる身体に変え、多量に汗をかく』
 『しっかり栄養をとり、たっぷり睡眠をとる。そして毎日最低2〜3時間の湯治をおこなう。』

 こうして一定状態まで副腎の機能が回復すると、痒みや炎症の消退がし始めます。

湯治→汗→血流が良くなる→血管壁の汚れが減少→血液循環がよくなる→自律神経失調症が見られなくなる→副腎の機能がよくなる


V.湯治方法

 湯治は@起きてすぐA昼ごろB夕方C寝る前に40〜60分間おこなう。(子供や赤ちゃんの入浴時間は短め)

 この間隔はいずれも体を冷やさない、逆に言えば身体の温まった状態(血液循環のよい状態)をつくることにあります。
もちろん多量の汗がでるようになるので、水分補給にミネラルウォーターや緑茶、麦茶をとります。

 はじめは汗もあまりでませんが、体の代謝がよくなると、8〜10分位の湯治で汗だくとなり、皮膚表面に玉のような汗ができます。

 更に続けると、便秘が改善されたり、手足の冷えが無くなり、やがて痒みも消失してしまいます。

 不規則な生活や湯治をさぼると、手足の冷え、便秘、頭痛、発熱などの自律神経失調症が見られはじめます。更にその症状が進むと痒みが増してくるようです。


W.自然療法

 自分の健康は「自分で守り、自分で治す。」この気持ちを忘れず、マイペースでおこなうことがこの自然療法の焦点のような気がします。
 毎日の生活に湯治を取り入れ、しっかりと睡眠をとり、食生活を正すことがアトピーを克服する近道といえるようです。



ステロイド剤とは

Tステロイド剤が効くわけ

 痒みの原因は副腎機能の低下による、ずれた免疫システムの働きによることは説明しましたね。
 このずれた免疫システムを抑制してしまうのが、ステロイド剤なのです。
自己免疫力を低下させることにより、あやまったアレルゲン(卵、ダニ等)からの自己攻撃を抑え、痒みを抑えるのです。

 確かに痒みはおさまりますが、これでは異常が起きた免疫システムの治療にはなっていません。
反対に様々な問題点がでてきてしまうのです。


U.ステロイド剤の問題点

@副作用
 ステロイド剤の長期使用は、多くの副作用をもたらします。
特に取り返しが効かないのが眼障害で、常用者は、ステロイド剤を長い間使い続けると必ず眼障害が現れ、失明する時期がくるそうです。
 ステロイド剤の常用は皮膚の肥厚をはじめ汗孔等をふさぎ皮膚呼吸をできなくします。やがて脱毛や皮脂の減少により皮膚の分泌排泄作用が妨げられ、徐々に臓器の異常へと導かれます。

Aステロイド皮膚症
 身体のホルモン産生・分泌機能への異常がステロイド皮膚症を生じさせます。(ホルモンの異常が原因のため更に長い治癒期間を必要とします)

ステロイド→副腎機能の低下→副腎不全→障害の発症
          
        痒みをおさえる




最近のテレビから

 先日、NHKアトピー特集が放送されました。

 アトピーの原因、そして対策。見た範囲ですので誤りがあるかもしれませんが、ご紹介しますね。


 @かゆみ及び炎症のメカニズム
 
 ダニ等のアレルギー物質 → 肥満細胞からヒスタミン放出(かゆみの元) → 白血球の増加(炎症)

 上記のことを説明しますと、アレルギー物質と出会うことにより、肥満細胞からかゆみの元となるヒスタミンがたくさん放出されます。ヒスタミンの放出により、有害物質を撃退しようと白血球が集まってきます。
 このサイクルが続くことにより、ヒスタミンの増加、白血球の正常細胞への過剰攻撃となり、かゆみは続き更に皮膚には炎症がおこるそうです。


 A神経細胞

 この番組で、一番興味深かったのは、皮膚内部にある神経細胞についてでした。
 本来、私たちの神経細胞は表皮より内部にあるそうです。
 ところがアトピー体質の神経細胞は、表皮まで伸びているため、アレルギー物質に対し過敏に反応するそうです。また、極度の乾燥肌により、皮膚の隙間からアレルギーが侵入しやすい。

 これではアレルギー過敏もうなずけますね。


 Bではこれらの症状を克服するには?

 皮膚に水分を!そして保湿!でした。
 シャワーを浴びたあと、わずか1〜2分で乾燥肌にもどる肌を保湿するには、シャワーを浴びた直後の脱衣所や湿度の高い場所で保湿剤を塗る事だそうです。


 Cステロイドとの付き合い方

 ステロイドの利用法として、長期使用しないことをあげていました。
 危険だから少なく塗るのではなく、適量をきちんと塗り回復させる。
 十分の保湿を行い、症状が悪くなりはじめたら、軽めのステロイドで短期間回復。

 適量とは、光ってる状態でしたから、本当に多く感じました。
 医師にきちんと相談し、納得できるまで聞くことが大事だとか!


 D最後に、5番目の病院でやっとよくなった患者さんのお話です。
 自分の掻いてる時間をノートに書く。
 右腕5分。左耳3分・・・




 この番組がはじまってまもなく、「アトピーをよくするには、掻かないことだよ。」と私がいうと、
 娘はすかさず、「無理。」と答えました。

 実は5番目の病院でよくなった患者さんは、かゆくなくとも無意識にかいてる時間があったことを述べています。
 かゆいから掻くではなく、かゆくなくとも掻いている。
 今ではその行動が無くなり、よくなったそうです。



 今、アトピー体質をなおすことは難しいようです。
 でもその対策はできる。

 娘はこの春、高一になりました。
 番組で教えていただいたように、頭で描くように行動できるには、まだまだ・・・無理のようです。

 こうすれば症状がよくなるではなく、こうすれば完治する。
 早くそんな日が来るといいな。

 番組を見終わり、そんな感想を持ちました。   (2003,05,23)

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